「医療モデル」と「生活モデル」の共存について

高齢化の進展に伴い医療のあり方も変化を見せています。以前、高齢者が少なかった時代では、入院患者は若い世代が比較的多く、急病や外傷で入院をしても治療を行えば元気になり、また普段通りの社会生活に戻れるということがほとんどでした。しかし、現在は入院患者の半数以上は高齢者が占めています。

 

高齢者の入院では、病気が治癒しにくかったり、数週間の入院治療で歩行が困難となったり、退院後も生活への援助が必要となることがあります。さらに、医療の進歩により、これまで延命処置ができなかった脳卒中や心筋梗塞なども治療可能となっています。その反面、重度の障害が残り、退院後、医療だけでなく介護も必要な人も出てきました。医療が病院の中だけで完結しなくなったのが現代なのです。

 

そのため、医療機関で行われる医師を中心としたピラミッド構造による「医療モデル」に対して、生活の場面で多職種協働により行われる「生活モデル」という新しい考え方が出てきました。この2つのモデルは対立するものではなく、共存していくものだと思います。

 

具体的には、退院時、病院内における「医療モデル」から、地域社会での「生活モデル」へのスムーズな移行が求められています。そのために行うのが退院時カンファレンスであり、この際には医療の視点からだけでなく、生活を支える介護の視点も求められます。また、これらの会議の調整を行い、医療の視点を理解したうえで生活を組み立てることが、ケアマネジャーに求められる役割の一つだと言えるでしょう。

 

在宅医療では、生活モデルの考え方を基本とした多職種協働、いわゆるチームアプローチが重要となってきます。多職種協働が必要となってきた理由として、医療モデルから生活モデルへの転換だけでなく、独居世帯や高齢者世帯が増加し、介護力を含めた家族機能が低下していることや、地域社会の横つながりが衰退してきた背景が挙げられます。

 

これまでは、地域の助け合いで解決していた問題にも、社会資源の利用が必要となってきているのです。多職種協働により、利用者の医療、介護ニーズだけでなく社会的、心理的ニーズにも対応が可能となり、その健康とQOLを向上させることが出来るのです。