介護保険制度の課題

介護保険は、2000年度にスタートしたばかりの比較的新しい制度になりますので、今後解決していかなければならない課題もいくつかあります。ここでは、現在問題となっている4つの大きな課題について説明したいきたいと思います。

 

@地域における課題

 

これは「在宅介護」の問題であるともいえるでしょう。また介護保険制度が導入されてから、介護をする側の家族の負担は小さくなりましたが、現在1人暮らしの高齢者や、介護する人も介護者である「老老介護」、介護する人も認知症である「認認介護」の高齢者世帯において、自宅での生活はあきらめなければいけない状況となっています。

 

こういった介護者が自宅で生活したいという要望を持っていても、それが叶わず多くの高齢者が施設へ入所しなければならいのは、地域で適切な「在宅介護」がおこなわれていない、また介護を継続しておこなっていくシステムがまだまだ整っていないといえるでしょう。

 

A地域包括ケアシステムの整備

 

高齢者が例え、介護が必要な状況になった場合でも可能な限り生活の場所を変えることなく、本人の希望のままに介護サービス受けられるシステムが求められています。

 

そのためには、高齢者の日常生活圏内、すなわち身の回りに医療・介護・住まい・生活支援サービスを提供できる仕組み作りが大切になってくるのです。この仕組を「地域包括ケアシステム」といいます。

 

B介護職員の確保と待遇の向上

 

介護保険サービスを利用する高齢者がどんどんと増えていく中で、質の高い介護職員を教育・確保するシステムが必要です。

 

2007年には120万人ほどだった介護職員数は2025年には250万人が必要だと言われています。現状ではまだまだ職員数が不足している状況だと言えるでしょう。

 

介護職員の待遇に関しては、現在「介護職員処遇改善交付金」制度が採用されており一時的に賃金はアップしていますが、この制度は2011年度末で終了してしまいました。新たな待遇改善のための施策が必要な時期なのです。

 

C給付と負担のバランスを取る

 

介護保険制度の大きな課題として、介護サービスの質を向上させながら、給付と負担のバランスを取っていくことです。2000年度には3.6兆円だった介護費用は、2010年度には7.9兆円と2倍以上に膨れ上がっています。

 

これから更に高齢者が増加していくことを考えると、介護費用もそれに比例して増加していくと考えられます。と同時に、介護保険料も上げていかなければならない状況に陥るでしょう。

 

全国平均の高齢者1人あたりの月額保険料は、4期介護保険事業計画(2009年〜2011年)で4160円であったのに対し、5期(2012年〜2014年)は5000円を超えるだろうと予測されています。

 

介護保険制度を長期に渡って持続可能なものにしていくためには、制度の充実はもちろん大切ですが、保険給付の内容に関しては必要性や優位性を考慮したうえで、限られた国の予算の中で効率的にサービスを提供するシステムを整えていかなければならないのです。